不妊治療のQ&Aブログ

by 松本レディースクリニック 不妊センター

Q. タイミング法から人工授精に進むことになりました。人工授精とはなんですか?

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患者さまからのご質問の数々にお答えしていくブログ、今回は培養室から回答をお届けします♪

 

では早速、人工授精とはなにか、そしてその過程でおこなわれる精子調整(製)とはなにかを解説します。

 

■人工授精とは

人工授精とは、調整した精子をスポイトのようなもので子宮に注入する手技です。不妊検査で「精子の数が少ない」「精子の運動率が低い」など、精子に問題があると認められた場合や、「頚管粘液が少ない」など女性側に問題がある場合、さらにフーナーテストで「精子が子宮に入っていない」などが懸念される場合等におこなわれます。

 

精子の調整って?

さて、さらっと「調整した精子を…」と書きましたが、なんのことだろうと思われた方もいるかと思います。

実は精子というのは、精液中にある間は受精する能力がなく、運動も不充分。精子は精液とともに膣内に射出されますが、ここで精液とは分離し、精子単体で子宮の入り口の頸管粘液の中を泳ぎ子宮腔、そして卵管を目指すのです。

精液から精子が分離されることにより精子は授精能を獲得する(これをキャパシテーションと言います)のですが、これを人工的におこなうことが、精子調整(製)です。

また、射精により採取したそのままの原精液には、子宮を収縮させてしまう成分や細菌が含まれていることがあるので、そのまま使用すると痛みや感染のリスクがあります。それを避けるためにも調整は大切なのです。

 

まとめると、人工授精でおこなわれる精子の調整には、2つの目的があります。

ひとつは、運動性の高い良好精子を選別して濃縮し、受精率をあげること。

ふたつめは、受精に邪魔な不要物を除去し、痛みや感染のリスクを回避することです

 

精子の調整はどうやるの?

せっかくですので、培養室で精子調整(製)がどのようにおこなわれているのか、ご紹介します!

 

 

まず細長い試験管のような器具に培養液を入れます。その培養液の上に、原精液をそっと重なるように流し入れます。それを、遠心機で遠心にかけます。

 

成熟精子と未成熟な精子は、密度に差があります。その中間の密度の培養液を下に置くことで、重い成熟精子は培養液を通り抜け下に落ちてきて、軽い未成熟な精子は培養液の上に残ったままということになります。

 

試験管の下に集まった成熟精子は、0.4mlほどの培養液の中に納まります。このたった0.4mlほどの培養液が、スポイトで子宮に注入される精子です。つまり、精液の調整によって、不要物を除去しつつ、よりたくさんの良好精子をぎゅっと濃縮しながら集めることができるのです。

 

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松本レディースクリニック 不妊センターの培養室の様子です。患者さまひとりひとりに合わせた不妊治療をご提供すべく、日々精密な作業に取り組んでいます。

 

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