不妊治療のQ&Aブログ

by 松本レディースクリニック 不妊センター

Q. 二段階胚移植について教えてください。

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Q. 前回の採卵で良好胚盤胞を3つ凍結することができ、一周期にひとつずつ、3回移植をおこないましたが、どれも着床しませんでした。グレードもよいものばかりだったので、多胎のリスクを考え、2個移植はおこなわなかったのですが、次の採卵・移植では、二段階胚移植をしたいと考えています。多胎のリスクも含め、二段階胚移植について教えてください。

 

二段階胚移植とは

A. 二段階胚移植とは、予め凍結しておいた受精3日目胚と胚盤胞を、移植周期の排卵3日目と5日目の2日に分けて、それぞれ一個ずつ移植する方法です。

同一周期で2個の胚を移植することになりますので、多胎のリスクは2個移植と同じです。したがって、35歳以上の患者さま、複数回の移植で一度も着床しなかった患者さまに用いることができる方法、ということになります。

 

通常、精子卵子は卵管の中で受精し、受精した卵子(胚)は、成長しながら5日ほどかけて子宮に移動していきます。その移動中の数日間に、胚は子宮内膜へ信号を送ります。その信号を受け取った子宮内膜は、数日かけて胚を受け入れる状態に変化することが明らかになってきています。

体外受精では、受精から移植まで、培養庫の中で育てられるので、胚はその信号を子宮内膜に送ることができません。子宮内膜の受け入れ態勢が不十分なために着床できない胚もあるのではないか、という考えに基づいて考案されたのが、二段階胚移植法です。

 

移植周期の3日目に初期分割胚を移植することで、子宮内膜の受け入れ態勢を誘導した上で5日目に胚盤胞を移植し、胚盤胞の着床の可能性をより高いものすることを目的としています。少なくとも2つ、初期胚と胚盤胞の凍結が必要となりますので、排卵誘発の段階からご相談いただいて、計画的に胚凍結をおこなう必要があります。

 

受精3日目に胚評価をおこない、いずれかを凍結しますが、通常はある程度の発育が見込めるグレード3以上のものを選び凍結します。そして残った胚を継続して培養し、5日目に良好胚盤胞を凍結する、という流れになりますので、3日目胚は凍結できたけれども、残りの胚の発育が不良で胚盤胞は凍結できなかった、ということも起こりえます。そういった状況も考慮の上ご計画、ご相談いただければと思います。

 

また、すでに3日目、胚盤胞の凍結胚をお持ちで、二段階で移植したい、という患者様につきましては、移植周期に合わせてご相談下さい。