不妊治療のQ&Aブログ

by 松本レディースクリニック 不妊センター

Q. 凍結胚を保管してもらっています。どのくらいの期間の保存が可能ですか?

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凍結胚は、きちんとした手順を踏み凍結されれば半永久的に保存が可能であり、凍結期間が長いからといって劣化することはありません

 

当院では、できるだけ患者様のご意向に沿えるよう、更新回数の制限は設けておりません。ただ、治療上限を46歳とさせていただいておりますので、47歳になりますと延長はできません。

 

当院における凍結胚の管理状態について

1. 凍結胚ごとに容器を区別

保管の方法については、患者様ごとに密閉容器を分けるだけでなく、複数の採卵の凍結胚を保管されている場合には、さらにそれぞれの採卵ごとに容器を分けています。よって、患者様間はもちろん、同じ患者様の胚についても、万が一にも取り違えが起こることがありません。

2.液体窒素の徹底管理

胚は凍結された瞬間から、常に液体窒素下で保管される必要があり、液体窒素から取り出され、外気にさらされれば生存性は損なわれてしまいます。液体窒素は気化蒸発するものなので、タンクの中の液体窒素はどんどん減っていきます。タンクの中の液体窒素量を常に確認し、一定量以上になるよう日々補充することで、安全な環境の維持を徹底しています。

 3.融解時のリスク管理

移植のために融解する際は、まずタンク庫から、融解する胚を個別の液体窒素容器に移動させます。その際は必ずダブルチェックを行います。

また、融解する胚は、液体窒素から迅速に融解液へ投入されなければなりません。そのすべての過程で胚が常に液体窒素中にあるよう細心の注意が必要です。取り出す際の危険をできるだけ少なくするためにも、高密度に胚を入れることは避け、余裕を持った保管を徹底しています。

 

凍結胚を安全に管理するため…

昨今患者さまのご要望が多岐に渡り、複数の採卵の凍結胚の同時保存、他院からの移送での保管、海外に渡る等様々なご事情による長期保管も増えてまいりました。

それに伴いタンク庫の状況を見直す必要性が生じ、凍結胚の2年目以降の年間保管料を採卵ごと胚個数に関わらず2万円から3万円へと改定させて頂くこととなりました(※2019年の保存延長より適用)。

今後とも、凍結保存胚の増加に関わらず、安全性の確保を第一に考えた保管を徹底していきたいと考えております。何卒ご理解下さいますようお願い申し上げます。